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とある街で見つけた、
贅沢な、大人のカフェ。
買い物客も疎らな商店街を歩いていて、ふと、コーヒーが飲みたくなって、とあるビルの「カフェ」と書かれた小さなプレートを見つけ、矢印に従い、階段を上った。
エントランスに大きな水がめが置かれていて、野生の植物が何気なく生けられていた。
重厚なアールヌーボー風のガラスドアを開くと、そこは、大正ロマン漂う別世界である。
私は、大きな一枚ガラスの連なった窓際の、ケヤキの大木が望めるせきに座った。
やがて、品のある初老の男が注文を聞きに来た。身なりにも心を配っている風で、とまどいながらも、希望の品をリクエストした。
 
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私は席を立って、広い、木張りのフロアーをあるいてみた。時代物の家具が至る所に配置され、アールヌーボー調の照明スタンドから、やわらかい橙色の明かりが周囲を照らしていた。
インテリア・グルメ・建築・ファッション関係の雑誌が、時代を感じさせる重厚な戸棚に整然と並べられている。
どの雑誌も、近辺の本屋で入手できない代物ばかりである。
やがて、注文の品が運ばれてきた。驚いたことに、トレイに乗せた器類は総じて骨董品である。聞けば、江戸時代後期のお盆だという。 コーヒーカップに砂糖入れも、かなり古い時代のものらしい。
風に揺れるケヤキの葉っぱを窓越しにぼんやりとながめながら、私は、暖かいコーヒーを口に運んだ。
客は私以外に誰も居ない。 まるで私のために用意されたスペースのような気がして、まんざらでもなかった。
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コーヒーを含め、メニューの品はさほど多くない。 この贅沢な空間で、心が癒され、至福の時を過ごさせていただき、この値段で大丈夫?と心配するほど、低価格であった。
私は、あえて店名と場所を伏せておこうと思う。
今治を訪れたら商店街で、ご自身の目で探し当てて欲しい。 ただし、なるべく他言しないでもらいたい。
「なぜ?」って。それはね、人気が出て、多くの人が押し寄せることを警戒するから。 |
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